薬師如来様は古くから万病を癒し、人の寿命を延ばし、医薬を司る仏様として信仰されてきました。医薬の発達していなかった当時、一般庶民は様々な病苦を救ってくださるよう薬師如来様に祈願したのです。
本郷地区においては、石仏の薬師如来様は小菅ケ谷・笠間・公田・鍛冶ケ谷の4カ所にあり、さらに小菅ケ谷の旧薬師堂にも木彫の薬師如来様がありましたので、近世において薬師信仰は本郷全域で庶民の間に広く行なわれていたことが伺えます。
こちらの鍛冶ケ谷薬師如来様は江戸時代初期の明暦2(1656)年に建てられた座像の石仏で、元はやぐら状の小窟内にありました。徳川幕府編纂の「新編相模国風土記稿」にも正翁寺に薬師堂があったことが記されており、本郷地区では最も古いものです。
光背の頂部に薬師如来を表す種字を刻み、左手に薬壷を持っており、檀家や地域の人々に「目の仏様」として古くから信仰されてきました。現在でも眼を患っている人のお参りが絶えません。合掌
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